難聴の村会議員の体験を聞く会




 東京都主宰の月例コミュニケーション教室。11月は長野県白馬村から難聴でありながら村会議員に立候補して見事に当選、一期4年を勤め上げられた桜井清江(サクライ・スミエ)さんのお話しでした。
 桜井さんは補聴器も使えない強度の難聴があります。永年のアルペン山荘という宿泊施設の経営を通じて村民の皆さんに深い信頼を築いておられた賜物でしょうか、初出馬ながら当選を果たしました。当選しては見たものの、片田舎の予算も貧しい山村での議員活動は大変なもののようでした。

 まず、議会とリアルタイムでつき合っていくために手話とか要約筆記とかの通訳が必要ですが、その経費を誰がどう負担するのかということで揉めました。通訳を通じて情報が外へ漏れるのではないかとの恐れも持たれました。
 しかし、おいおいと理解が得られて、要約筆記は健聴者にとっても便利なものだと歓迎されるようになりました。誰しもほんの数秒間居眠りすることはあるものですが、目覚めてスクリーンを見ればどんな発言だったか知ることができます。

 白馬村は観光が大きな収入源になっていますが、宿泊施設に文字情報を普及させたり、難聴者のためのツアーや知識障害者のためのツアーを企画したり身障者ならではアイデアを次々と実現させてきました。歴史中心のツアーも生まれました。

 当初から一期だけと決めていたので、やり残したことは沢山ありますが未練を残さず4年で潔く身を引きました。この4年で得られた教訓は障害者と健常者の関係は「助ける」「助けて貰う」という意識があってはいけないということ。対等の立場で信頼し合える関係を築いていくことが必要です。

 「コミュニケーションという横文字の判ったようで判らない言葉。これを私は相互信頼を築くための手段と読みとることにしています」。日頃もっと気の効いた日本語訳はないものかと頭を捻っていた私にとって少なからぬヒントになりまた。

 桜井さんは見るからに明るい方です。「立候補の理由は大したことではありません。何か面白そうだからやってみようかと思っただけのことです」という言い方が少しも不自然に聞こえません。
 戸惑いしたことの具体的な例はお話しの中に次々と出てきました。でも、全然辛くはなかった…と。それは彼女の性格の明るさからすれば当然そうだったに違いないのです。

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