デンマークと日本とでは学力に3年の差がある




 2005 9月24日のコミュニケーション教室での長谷川洋氏の講演で考えさせられました。
日本のろう学校では「ろう者」と健聴者との間に3年の学力差があることを如何ともし難いこととされているのだそうです。
 というのは生まれて3年の間に何らかの方法でコミュニケーションの手段を身につけておかないと小学校に入ってからの健聴児との教育ギャップをどうしても埋めることができないらしいのです。

 日本のろう教育では長いこと「口話法」が絶対とされて、ろう学校では手話を使うことを厳しく禁止されてきました。口話では相手の口許に全身の神経を集めなくてはならないので長い時間は耐えられません。第一幼児に口話を教えることなど不可能です。

 しかし、両親が手話を使うのを見て育った赤ん坊は教えなくても自然に手話を覚えます。3才の健聴の坊やが難聴の母親と自由に手話で話し合うことは既にニュース欄で紹介したとおりです。3才という年齢が如何に大きな意味を持つか、私は今回の長谷川先生の講義で始めて知りました。

 デンマークのコペンハーゲンろう学校では0歳児から手話に馴染ませる努力をしてきました。第一言語として手話を学び、第二言語として国語を学ぶわけです。
 その結果として義務教育課程を終えた16歳の健聴とろうの生徒の学力テストの結果が科目毎に細かく比較され報告されています。「差は全くない」というのが結論です。諦めきっている日本と比べてなんという大きな違いでしょうか。

 デンマークやスエーデンでは大学での講義を助けるための手話通訳の養成や派遣についての費用は全て国がカバーしています。アメリカでは国ではなく各大学に手話通訳やノートテイクなどの情報補償を行うことを法律で義務づけています。
 日本では僅かに難聴学級がある学校の「その教室でだけの」補償があるばかりです。欧米諸国との為政者の意識の落差に慄然とするほかありません。

 その意味で筑波技術短期大学が講義に手話を使うことを積極的に宣言し実行してきたことの影響は大変に大きいと言わねばなりません。特にコンピューターや建築・デザイン関係の手話用語を開発してきた努力を多いに評価すべきです。

 日本では0〜3歳児の教育は文部科学省ではなく厚生労働省の管轄です。既にこのような縦割り行政の壁がある他に、それぞれにどれだけの関心を持つ人がいるのか???と思わざるを得ません。
 驚いたことには、ろう学校の教師に難聴者が一握りしかいないこと、それにろう学校の校長職は転勤の最後の場としての名誉職に過ぎないので、実際にろう児童の現実を何一つ知らない内に退職の日が来る例が多いのだそうです。
 そうしたろう教育の実態を文部科学省の責任者が知らないわけはない。教科書問題と共に霞ヶ関に任せきりにしておいてはいけません。我々一般人が多いに口を出して行くべき問題で、このHPの読者の皆さんにもお考え頂きたいものです。

 

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