0702 音楽をどう聴くか



 人口内耳ではメロディーがわからないとすればリズム音楽となりますが、この点で私は遠いながらも鮮明な記憶があるのです。

 戦争に負けて幾らもたっていない頃のことです。アメリカ空軍の軍楽隊がやってきました。スーザホンが小さく見えるくらいの巨漢揃いのブラスバンドの迫力たるや大したもので、秋田記念館という古い建物のガラス窓を全部開け放って演奏したのですが、遠くまで音が届いたそうです。
 その中で特に凄みを感じたのは小太鼓のソロでした。何故かこのナントカ軍曹だけがスリムで日本人並みに小柄だったのですが、舞台の中央に一人進み出て直立不動の姿勢で叩き始めるや満場水を打ったように静まりかえりました。緩急自在、あるいはささやくように、あるいは嵐のように、視線を一度も太鼓に落とすことなく中央の一点を見据えたまま長い時間を叩ききったときの満座の興奮を忘れられません。小太鼓一つで完璧に音楽として表現できることを私はあの時始めて知りました。

 だから、人口内耳のためにメロデイは駄目でも小太鼓があるさ…という気持ちがあるのですね。目下CDを探している最中です。たまたま杉並にお住いの茂垣(モガキ)様から「その前に一度ラップ音楽を聞いて御覧」とお勧めを頂きまた。ラップ音楽とはなんであるか?私は全然知りません。知りませんが会社でメモを回したら忽ち「ラジオから録音したのでよければ貸してあげよう」と名乗り出る人があって昨日早速聞かせて貰いました。
  ポンポコ・チャカポコという感じの伴奏を背景に、茂垣様が「なんか訳のわからないことをぶつぶつ言いながら音程のないスキャット」と表現された通りの音楽というより語りですね。節のついた語りです。「なんだこれ?」と最初は不思議に感じましたが暫く辛抱して聞き耳立てていると「これもまた結構なものだ」と思えるようになりました。
 
 語りの意味が全然わからないのがいい。ブツブツブツブツ・ポンポコポンポコ・ブツブツブツ・チャカポコ…何だかこっちも自分の腿のあたりをピシャピシャ叩きたくなるような不思議なリズム感があります。面白いものを教えて頂きました。

 それと静岡県三島市の斉藤様からのメイルです。オカリナ(でしたか?ケーナだったかも知れない)を「音痴ィー」と笑われながら練習して、やがて人前で御披露できるまでになったそうです。これには大変勇気づけられました。音楽は聴神経で感じるものですが、訓練によって脳で「理解できるようになるのではないか」というのがサトーの仮説(これは嘘!)ですが、斉藤様の体験は立派にこの仮説の裏付けたり得るのではないでしょうか。


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