0601耳鼻科医は何故補聴器に冷たいか



 「治療としてはこれでオシマイ。後は補聴器をつけて下さい。と言った日から医者が急に冷たくなるのは何故だろう?」「言われるままに指定の日に補聴器外来に行ったら相手をしたのは販売店の人だった。何故医者が面倒みてくれないのか」。


 

 これは私の言葉ではありません。ここ3年ほどの間に発行された各種難聴者団体の機関誌とホームページと集会の中で繰り返されている難聴者の声です。
  医者とは補聴器なんぞ使わなくても済むように治療してくれるのが仕事の筈ですね。補聴器を使えというのはギブアップ宣言です。医師としては敗北を認めたことになる最も辛い瞬間でしょう。これは皮肉でもなんでもない。「補聴器の顔なんかみたくもないよ」私が耳鼻科医ならもしかしたらそう思うかも知れません。

  私は極く最近意外な文書を見てしまいました。昨年10月京都で全国中途失聴者・難聴者福祉大会がありました。この報告書のことです。「最近の機器・人工内耳の現状」という分科会で耳鼻科医の大山先生がこういうことを言われました。 

 耳鼻咽喉科を正確には「耳鼻咽喉科頭頸部外科」と呼ぶ。本来は外科である。聴覚・音声・言語・嗅覚・味覚・平衡覚・嚥下・咀嚼等広い分野をカバーする。医局に入ると外科手術が研修の大部分を割く。手術することによって病気を治すのが耳鼻科医の本来の任務で、聴覚障害や補聴器に関心のある耳鼻科医はあまりいないのが現状である。 

 私は近頃こんなにショックを受けた文章に行き当たったことがありません。「なんだ、お前そんなこと今まで知らなかったのか」とからかう人もいるでしょうが本当に初耳です。こう言われてみれば思い当たることは沢山ありますが、もうそれはいいでしょう。
 

 大山先生のお話には続きがあります。日本耳鼻咽喉科学会の会員の内で耳鼻咽喉科の専門医として認められている医師は8080人。その内で補聴器判定医が500人以上いる、とのことです。24万人の人口に対して一人の割合で補聴器に詳しい医師がいるわけですが、残る7500人余、実に93%の耳鼻科医は補聴器には関心がないことになります。してみると冒頭の問いかけは当たり前のことだったんですね。別に耳鼻科医に対する誹謗でもなんでもない。我々が冷静に受け止めなくてはならない一つの事実だったのです。私がこれまで知らずにきただけの話です。

これからはこの事実をしっかり頭に入れておくことにします。読者の皆さんもです。


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