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ガンとは血液の汚れの結果と言われています。いくら手術によってガンを切り取ったにしても原因を正さないことには必ず再発します。
血液を正常に戻す手段として最短距離にあるのが断食と言われています。ある期間食べることを断つと大腸の内壁にこびりついていた宿便が剥ぎ落とされるのを始め、体内の毒素が汗や吹き出物の形で対外に追い出されます。
長期にわたって栄養を断つことは体にとっては危機的な状態に陥るわけで、そうなると今まで休んでいた体内の自然治癒のプログラムが働き出すらしいのです。遺伝子にそのような働きがあることを遺伝子の権威村上和雄先生が本に書いておられますからいずれ後で触れることにしましょう。
ただ、断食は医師の指導と監視の下で行わないと命に関わります。特に断食が終わって正常な食事に戻す過程が厳重注意を要するところです。その意味で、伊豆にある石原結実先生の断食クリニックに入って指導を受け、ガン細胞が消えるまでおつきあい頂くのが理想です。でも、時間とお金に余裕のない者にとってはできない相談です。私だけではない全国のそうした人々のために石原先生は「プチ断食」を勧めておられます。プチ断食とは断食に準じる方法ということです。
朝食は摂らずに人参とリンゴのジュースだけにします。昼食は軽く蕎麦を一枚程度。夜は好きなものを好きなように食べて良い、というものです。日中腹が空いたら生姜湯・生姜紅茶・梅醤茶などでお腹をなだめます。これは好きなだけ飲んで良いのです。体温を上げると同時に空腹感を忘れさせる。これで高血圧や糖尿病を始め大抵の慢性病を治すことができます。
しかし、現実ににガンに捕まったとなるともっと厳しさが要求されます。朝食抜きにに加えて昼食も止めます。夜は玄米に味噌汁に野菜を一品程度、文字通り一汁一菜の食事が基本です。これに積極的に毒素を追い出す効果を持った素材をメニューとして加えれば申し分ありません。これは石原先生の御著書に詳しく書かれています。
肉類や卵を始め天麩羅やフライなど油で揚げたものもガンが消えてくれるまでお預けです。要するに生きていけるギリギリまで栄養を絞り込んでガン細胞を兵糧攻めにしようというわけです。ガン細胞は高い熱に弱いのと同時に饑餓状態にも弱いのです。健康な細胞よりもガン細胞の方が一歩だけ弱い。その境目を狙うことが大切のようです。更に肉体を半饑餓状態に置くとこれまでOFFの状態にあった遺伝子の自己治癒の回路がONになる、これを忘れてはなりません。
私は退院した翌日から忠実にこの食生活を始めました。あと10日で4ケ月になります。正直言って一日一食というのは終日会社勤めしている身にとってはかなり辛い制約です。しかも、排尿の度に出血がありますから貧血気味でもある。足下が一寸たよりない感じがしますし、日中時折フラッと気が遠くなることがありました。夜の睡眠は十二分にとってるので眠気ではありません。やはり貧血のために意識が怪しくなるのでしょう。
それでここ一月ほどは粉末スープをお湯に溶いて摂るようにしていますが、こんなものでもあるとないとでは随分違う感じがします。自分が正常に働きながらガンにはじっとしていて貰わなくてはならない境界線は試行錯誤を繰り返しながら自分自身で決めるしかないようです。
辛くはありますが三鍼法の林義貢先生は「できたら一日一食にして御覧。我々の年齢ではそれで十分なんだよ」とおっしゃった。先生は私とは一つ違いなのです。それで何時お会いしても生き生きとしていらっしゃる。私にできないことはないのですね。
玄米食は噛むのに時間がかかります。茶碗一膳片付ける内に味噌汁が冷めてくるくらいで、何品かおかずを並べても箸を回す暇がないのです。池波正太郎の「剣客商売」で主人公の秋山大五郎がネブカ汁だけをおかずにメシを食う場面がよく出てきますが、全くあの通りで笑ってしまいます。この4ヶ月で咀嚼の大切さを知ったというところでしょうか。
馴れてしまうと玄米は何とおいしく白米とはなんと味気ない食べ物だろうと思います。おかげで入院前よりも体重は4kg、ウエストは5cm減りました。
*文藝春秋の6月号が出ました。立花隆さんの「僕はガンを手術した」の連載3回目は「膀胱にメスが入ったとき」です。殆ど同時期に私と全く同じ手術を受けているのでこんなに有り難くて参考になる記事はありません。これから立花さんはどういう経過を辿るのか、東大病院に身柄を預けたからには恐らくは私とは正反対の方向へ歩まれるのではないかと興味が尽きません。

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