0318 脳の活性化の秘密は高い音にある




 アルフレッド・トマテイス先生は前にも書いたように耳鼻科医であると同時に音響学と音声学の泰斗でもあります。驚くべき研究結果を幾つか発表されています。
 あまりにも独創的であるが故に音響学とか脳生理学に詳しくない耳鼻科医の間では理解が難しいところがありそうに思えます。
 その証拠に「音楽を聴いて耳が良くなるなら医者は苦労しないよ」と言う医師が大変多いように聞いています。もしかしたらこの説を認める人は日本では少数派に属するのではないでしょうか。

 私はこれまで医学に限らず一流大学で専門技術を学んだ人と数多く交流してきましたが、自分が知らないことを「そんなことはない」と言下に否定する人が多いのに感心します。
 「何故そう言い切れるのか」と問い返すと必ず「大学で教わらなかった」と言います。私はニヤッと笑ってそこで話しを打ちきるのが常なのです。

 大学とは物の学び方を教える所で、あらゆることを教えてくれる訳ではないでしょう。教える方の教授が公平無私なんてあり得ない。自分の最も得意とするところを精一杯開陳し、自分が認められない学説は口を極めて罵る。それで良いのだと思います。
 生徒は予め教授の得意な分野を調べ、偏向ぶりまで承知の上で指導を受けることに決めている筈です。

 だから、教授が「トマテイスなんて野郎の研究なんて認められるか」と言うのは構わない。でも、学説の紹介くらいはして欲しい。全然知らないでいることは専門家としては恥ずかしいことじゃありませんか。
 学生も「トマティスなんて名前は聞いたこともないし教わったこともない」と平気でいられるのが私には不思議なのです。「そんなこと始めて聞いた。その本どこで売ってるか?」であって欲しいですね。

 さて、トマテイス先生の御説で最も驚いたところは「脳のエネルギーを補給するのは音である。それも8千ヘルツを越える高い音である」というところです。

 「脳は何によって働くか」と問いかければ一人の例外もなく「血液」と答えるでしょう。私だってそうします。でも、トマティス先生は血液は生命維持に欠くことができないものであるだけに過ぎず「エネルギーの元になるのは音である」と言われるのです。
 このへんが大学では教えない、耳鼻科医が容易に認められないところであろうかと思います。

 しかも「脳の活性をもたらすのは8千ヘルツを越える高い音である」と言われると「そんな高い音が聞こえない難聴者はどうなるのか?脳の働きが鈍るばかりなのか?」と抵抗したくなります。「年とって耳が遠くなると高い音が聞こえなくなる。ボケが進むのはそのせいか」と短絡したくもなります。

 このへんのところをトマティス先生は「音は耳だけで聞くものではない。頭蓋骨全体に響かせればよいのだ」と表現しておられる。少々ほっとするところです。
 「音は耳だけで聞くものではない」このへんのところを次回にもっと突っ込んでみることにしましょう。


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