0242  使い方の誤解が解けない市販の磁気ループ

 



 JR田町駅からほど近くにある東京都障害者福祉会館はすべての部屋で磁気ループが使えるようになっています。我々難聴者の会議には殆どこの建物を借りていますが、何時行っても備え付けの磁気ループのスイッチを入れるとボリウムが飛んでもない高い位置にあるのが普通です。前に借りた人がどんな使い方をしたか一目瞭然です。

 備え付けの磁気ループの送信機には必ずVUと書かれた音量を示すメーターがついています。0VUの目盛りが適正音量の上限を示していてそれ以上は赤で塗り潰してあります。
 自動車でもエンジンの回転数を示すタコメーターがついている物があって、これ以上回転を上げるとエンジンによくないよという範囲をレッドゾーンということは御承知の方も多いでしょう。VU計も同じで針が常時レッドゾーンにあるような使い方をしてはいけないのです。

 一歩を譲って瞬間的に針がレッドゾーンの右端ぎりぎりに飛び込むのは許されます。それが針が右端を激しく叩いていたり、極端なときは針が振り切ったままになっているのを平気でそのままにしている場面よく見かけます。メーターが可哀想でハラハラさせられるのです。

 VU計は伊達についているのではありません。針がレッドゾーンに飛び込むのは、これ以上ボリウムを上げると音が歪むよというサインなのです。説明されなくても針が異常な状態にあることぐらい目で見たら判りそうなものです。それでも尚且つ何年たっても事態が改まらないのは何故でしょう?

 これはですね。恐らくというより100%「音が小さい。よく聞こえない」と言う人がいるので針の動作なんか委細構わずボリウムを上げているのに決まっています。レッドゾーン以上にボリウムを上げても音が歪むだけで音は大きくなりはしないのだとこの際しっかり心得て頂きたいのです。

 このことは前にも書いていますが山本夏彦氏の随筆と同じで常識として徹底するまで何度でも同じことを繰り返します。磁気ループの音質とか音量の殆どは補聴器で決まってしまうのです。そして、補聴器にとってテレホンコイルはおまけに過ぎません。特に耳穴式の補聴器では磁気ループの音が聞けるだけ有り難いと思うべきで十分な音質や音量を期待してもしようがないのです。

 私は会議が1時間以上になるときは始めから補聴器は使いません。必ず写真のような専用機を使っています。補聴器だと長丁場の聴き取りには私の耳の神経が耐えられないのです。
 愛知県のMさんとは2ヶ月一度の会議で一緒になりますが始めの頃は磁気ループのワイヤを持ち上げて耳の傍、つまり補聴器に近づけて聞いていました。彼がお使いの優秀な補聴器でもそれか性能の限界なのです。今は専用機で余裕を持って聞いています。

 さて、磁気ループの正しい使い方は専任の音量調整係を張りつけておくことです。発言者の声の大きさはまことにマチマチです。蚊の鳴くような声から地響きするような地声の持ち主もいます。これをボリウムを固定してカバーしようとしても無理なのです。声が小さいと「聞こえない」と言われるし大きすぎると「音が割れる」と言われる。誰かがきめ細かくボリウムを回して合わせてやらないといけません。

 備え付けの磁気ループは殆ど正面横手の壁に張りつけるようにしてセットされています。困ったことにこの位置は要約筆記のスクリーンで塞がってしまうことが多い。だから専任の音量調整係を張りつけておくには不都合があります。そして音量調整係も発言者の一人であることが多いので、理想的に言えば送信機を壁から引き出して机の上に置いて扱いやすい状態にして使うべきです。

 そんなことから私が作る磁気ループは卓上で常時コントロールできるものにしVU計はつけないことにしました。どうせ誰も使ってくれないし耳で聞けば音の歪みは判るのですから。借り出していく人には使い方のコツとして「モニターして音が歪まない範囲で使って」とだけお願いしています。

 

 

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