0226 磁気ループの音の大きさと音質に関する誤解




 磁気ループを働かせて全ての参会者から「今日はしっかり聞けた」とお褒めを頂くことはまずありません。同じ条件で磁気が出ているのにある人は「音が小さい」と言うし、ある人は「音が割れる」と言う。
 開会前の予備テストのときこう言い出す人には予め持ち込んだ磁気ループ専用受信機を使わせてみると大抵解決します。専用受信機と言えば大層なもののようですが、要はこれまで書いてきたチョークコイル+マイクアンプ+パワーアンプの組み合わせに過ぎません。

 音の良し悪しと音の大きさは御自分の補聴器で決まるのです。補聴器は内蔵マイクから取り込んだ音をベストの状態で耳に送り込むことが全てであって、テレホンコイルはオマケです。音質までは勘弁して…というところがある。これは悪口ではありません。今まで私が取っ替え引き替え使ってきた歴代の補聴器が全てそうでした。

 箱形から耳掛け式へ、更に耳穴式へと形が小さくなるにつれてコイルが小さくなり、磁気ループ受信用としては条件が厳しくなります。この順序に従って音質が悪くもなるし感度も小さくなると割り切った方が良いでしょう。飽くまでも比較の問題ですが。

 受信側では音をこれ以上大きくできないので送信側のパワーを上げて…。よく言われることですがこれも無理なことが多い。
 大体磁気ループ受信のときは補聴器のボリウムを最大にして聞いているのでアンプにもイアホンにも最早余裕がありません。そこへ磁気を強くしたからと言って音が大きく聞こえるわけではないのです。そのへんを判って頂くのが大変難しい。

 ここは例えでいきましょう。自動車のエンジンとタイヤの関係としますか。何百馬力のエンジンを載せようと軽自動車のタイヤがついていれば、そのタイヤの能力一杯のスピードしか出せません。アクセルを床まで踏みつけるわけにはいかないのです。こんな表現でどうでしょう?

 次に送り手のパワーの問題です。ループの送信機に最大出力何ワットと書いてある。そうすると10ワットより20ワットの方が音の大きさが2倍になると考えたくなる。無理もないですね。
 これもあれこれ考えるより試してみるのが早道です。半径10メートルのループを張ったとします。このループに音声電流を流すと磁気が出る。その磁気は円周上で最も強くて、円の中心に近づくにつれて弱くなる。円の中心で実用的な磁気の強さが得られるかどうかが問題なのです。

 円の中心で実用的な強度が得られたら、それ以上のパワーは無駄なのです。補聴器をつけた受け手がループから1メートルの範囲にいるのなら出力が5ワットだろうと50ワットだろうと音の大きさは変わりません。前にも書いたとおり補聴器の能力で頭打ちになるのですから。

 5ワットで足りるところへ50ワットを送り込んだら補聴器が飽和して音が歪みます。いわゆる「音が割れる」ということになる。「音が割れる」と感じたら部屋の中心部に席を移してみることです。これで解決することが多い。逆に「音が小さい」と感じたら壁際に寄ってみましょう。
 
 *これはループが部屋の周りをグルッと一回り巻いている場合であって、床下にきめ細かく理想的な配線がしてある場合はこんなことは起こりません。どの席にいても平均して聞こえる筈です。

 とにかく「音が割れる」とか「小さい」とか言われたら、先ずは「部屋中を動き回って御自分に合った位置を探して御覧なさい」と勧めてみてください。やってみると位置による感度の違いの大きさに改めて驚かれることでしょう。


直線上に配置
 

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