0222 磁気ループ経由でスピーカーを鳴らすこと




 磁気ループは難聴者の集まりにはなくてはならぬものです。でも、聴衆の中に健聴者が混じっていると彼等のためにスピーカーを用意する必要が生まれます。
 私が作る磁気ループシステムでは必ず複数の出力端子を設けています。ループを二重に張りたいときに重宝します。また、片方をループ用に片方をスピーカー用と振り分けることもできます。

 年取ったせいか私も物ぐさになって、できるだけ荷物を軽くすることに努めるようになりました。何よりもコード類を最小限に絞りたい。スピーカーのコードなどは邪魔者の最たる物であります。そこで、最近の私の手口をお目にかけましょう。

 写真を御覧下さい。真ん中のは磁気ループの専用受信機です。マイクアンプとパワーアンプを組み合わせた(これまでこのシリーズを通して御覧になってきた方なら何でもない)オーデイオアンプです。マイクロホン用のジャックに0211で紹介したコイルを挿し込んであるのが見えてますか?
               スピーカー

 ボリウムを挟んで左側にあるイアホンジャックにイアホンを挿せば音が聞こえます。今はイアホンの代わりに小さいスピーカーが繋いであります。これ1個で教室の隅々まで音が通りますし、私は2個で講堂を十分カバーしています。

 ここでスピーカーの能率について少し書きましょう。
 いくつかのスピーカーを用意して、同じアンプで次々と鳴らしてみるとその音の大きさの違いにビックリされるに違いありません。小さい音しか出ないのを能率が悪い、大きな音が出るのを能率が良いスピーカーと言います。代表例を三つ並べました。

 左端の黒い箱に入っているのは極くありきたりのコーン型スピーカーです。能率は三つの内では最も悪いけれど、箱との組み合わせが大変良くできています。講堂などで複数個使うとスピーチ用として申し分ない音が出ます。386アンプと006P(9V乾電池)を使うと軽便で使い勝手の良い拡声システムが作れます。

 右端のをレフレックストランペットと言います。運動会や選挙運動などでお馴染みのヤツです。真ん中の角の中がどうなってるか?分解してみたことのある方はそんなに多くないでしょう。
 これは長いトランペットスピーカーを三つに切って折り畳んで入れてあるのです。お尻にあるユニットから音が出ます。その音が細いパイプを通って綴じられた角の先端にぶつかって折り返し、もう一度角の根本で折り返して最も外側のホーンを伝わって外へ出ます。日本語で言えば「折り返しトランペット」ですね。能率の良さでは今でもこれにかなうスピーカーはありません。

 ホーンの直径が1メートルもあるとまァまァと言える低音が出ますが、写真のは13センチしかないので甲高い音になります。とても室内で音楽なんかには使えません。野外専用・アナウンス専用と考え下さい。よくもまァこんな小さなアンプとスピーカーで…と感心するくらいの声が遠くまで届きますから。

 真ん中のは始めて御覧になる方が多いのではないでしょうか。防水スピーカー(アシダ音響DH−36)と言います。一寸見たところトランペットスピーカーに感じますがコーン型のスピーカーを裏向きにしてホーンに繋いであるだけです。レフレックスホーンの一番外側を箱の代わりに使ったと言いましょうか。能率は左右両者の真ん中へんにあります。
 日本では大変歴史が古いアシダ音響の製品だけにスピーカーとホーンの組み合わせが絶妙で、誰に聞かせても「フーン、こんなチビの癖に」と感心します。

 これまでは左端の箱入りスピーカーの2個組を主に使ってきましたが、次第に物ぐさになって箱の大きさと目方が気になり出しました。それで真ん中のスピーカーの数を増やして最近は殆どこれを持ち出しています。とにかく小さくて軽いのが助かっています。
 ついでにコードまで邪魔になって写真のように堕落したのはつくづく申し訳ない限りです。でも便利さには勝てませんよ。
 
 先日障害者自立支援法対策の会議があったのですが、議長が「私にそいつを貸してくれ」と言い出して、最後まで自分の席の真ん前に置いてスピーカーから小さく出る音を補聴器を通して聞いてました。「これが僕には一番聞きやすいなァ」と。
 そうだろうと思いました。このスピーカーから出る音のバランスが絶妙で議長の補聴器の癖とよく合っていたのでしょう。「こうした使い方もあるな」と一つ勉強させられました。

直線上に配置
 

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