0201 磁気ループシステムとはこんなものです



 補聴器をまだ持ってない、これから買うと言う方に強くお勧めします。少なくとも人が大勢集まるところで話を聞いたり会議に参加する可能性のある方は必ずテレホンコイル入りの物を求めるように…と。何故それが必要なのかこれから御説明しましよう。

 補聴器は静かな部屋で、握手できるくらいの近さにいる相手の人と話すときには威力があります。広くて反射の多い部屋、騒々しい環境の中では役に立ちません。どんなに高価な補聴器であっても…です。

 天井や壁からの反射音の影響を受けまいとすれば今のところ手段は三つあります。第一に音を電波の形に変えて送ること。第二は光に変えること。第三が磁気に変えることです。電波は最近はFM方式による超短波・極超短波を使うのが一般的です。光方式は赤外線が主力になりました。第三の磁気利用は原理として最も古くて全然進歩していない方式です。

 原始的で進歩がない方式に何故私共がこだわるかと言えば、詰まるところお金の問題です。システムが格段に安上がりだからです。受信機だけの値段を比較してみれば高い順から赤外線→FM電波→磁気となります。磁気を受けるのは大変簡単で、補聴器の中に小さなコイルを一つ組み込むだけです。この手軽さと安さには他の方式は歯が立ちません。

 補聴器が箱形の時はこんなこと簡単でした。耳掛け式もまずは楽チンな方です。困ったことに近頃は耳の穴にスッポリ隠れるタイプが好まれるようになりました。「より高性能で、より小さく」甚だ矛盾したことをお客が求める。メーカーは「コイル入りは必要とするお客用に別に作ればよい」と割り切ってコイル無しに力を注ぎます。お客は元々磁気ループについての知識なんて無いから「より小さい」方が良いと思う。店は店で「コイルがある方が将来のためですよ」までは言ってくれません。

 で、20万とか30万とかを出して求めたは良いが、磁気ループをセットした会合で始めてその便利さを知り(と言うより格段に話の理解度が違うことに気がついて)愕然としますがもう遅いのです。かく言う私は補聴器歴30年以上になり、このホームページを開いたりしていますが、会合で磁気ループがあるかないかで話の聞き取りようが全然違います。それはもう決定的に違います。だからコイル無しの補聴器を使っている人を見ると気の毒に堪えないのです。


 「これから買うなら必ずコイル入りにしましょう」と勧めるのはそういう意味からです。補聴器が2万とか3万で済むのなら私は何も言いません。しかし、一桁違ったらコイルのある無しなんて無視できる差です。それで「シマッタ」となっては馬鹿馬鹿しいではありませんか。

 とは言うものの高価なものを既に買ってしまった。今更買い直しもできない。磁気ループを使いたいのにどうするか。まァそのためにこのホームページがあるとお考え下さい。超格安に受信機を作ることもお教えしようとしているのですから。


 さて、磁気の話をしましょう。電線に電気を流せば必ず線の周りに蚊取り線香みたいな磁気の場ができます。唯の電気ではなくて音声の変化に従った電気を流したとします。早い話が電話線です。話し中の電話線の上にテレホンコイルを組み込んだ補聴器を乗せて見て下さい。アラ不思議!話の内容がはっきり聞き取れるではありませんか。しかも、難聴者が受話器で聞くよりもっと綺麗に。補聴器を一寸離すと聞こえない。離しても聞こえくれれば楽しいな!と思いませんか? そう、それが磁気ループの原理です。

 さっき磁気の場を蚊取り線香に例えましたが、電話線をグルリと輪にしてみます。その輪に補聴器を近づけだけで、ホラ、聞こえるでしょう。次ぎにこの輪の直径を部屋一杯にしてみる。そして巻き数をも少し増やしてやる。すると部屋のどこにいても、動き回っていてもはっきり聞こえます。立派な拡声装置があってスピーカーから綺麗な音が出ているのだけれど30万円の補聴器でも何を話しているのか意味が判らない。それがこんな簡単な蚊取り線香のお化けみたいなものの中にいるだけで見違えるように(イヤ、聞き違えるように)聞こえるのは考えてみると不思議ですね。

 1.「自作への道」で磁気ループも送信機も受信機も全部手作りします。それで試してみれば不思議でもなんでもない。電子技術の世界はすこぶる楽しいものなんですよ。


磁気ループの混信を防ぐには


 磁気ループを使っている内に突如よその部屋の音声がが割り込んできて弱った…といううことを近頃よく聞きます。その対策を話しましょう。図を描けば易しいが、面倒臭いので文字だけでやってみます。

 ドーナツを1個想像してください。リングの中心部にループが埋め込まれていると思って下さい。このループに音声信号を流すとドーナツ状に磁界ができます。このリング状の磁界の中で磁気コイルつきの補聴器を使えば音声はクリアに聞こえます。それよりもっと近くなるなると俄然聞こえが悪くなります。磁気が弱くなる。消える。つまりドーナツの孔の中と同じ状態になります。


 この孔を作らないように、ドーナツを饅頭みたいにするのは割合簡単です。音声信号のパワーを上げてやればよい。そうすると孔が無くなる代わりにリングの直径が太くなる。太くなるということは廊下なり隣の部屋なりに磁気がはみ出すことを意味します。隣の部屋でも磁気ループを使うと当然信号が混じり合う。混信と言います。混信は隣同士だけではありません。上下にも影響します。1階と2階の間でも混信します。磁気には電波のようにダイアルを回して周波数を選択するというような芸当ができません。周波数は常に一つしかないのです。


 これを防ぐにはどうするか。方法は三つあります。一つはパワーをうんと小さくすること。次ぎに饅頭でなくてドーナツとしての使い方をすること。三つ目は磁気の方向を変えてやること。具体的にどうするかは後日皆さんに実際に体験して頂きます。



直線上に配置
 

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